2013年4月12日金曜日

Neko Chigura

 吾輩はこの町から出たことがないEmilioである。故郷はこのマンションの谷間だ。Bettyは羽田あたりらしい。パパは赤羽。江戸っ子たちだな。
 そしてママは長野県の固有種だ。おかげでAoaoは松本生まれ。


途中通ったひさびさの白馬村。
ここはおばあちゃん方の実家があった村。
夏休み冬休みは白馬村でも過ごした。
こんなに山って大きかったっけ?

 先週末、パパとママはAoaoに吾輩たちを任せて長野に帰った。朝5時前に出発。1人暮らしを敢行し続けるひいおじいちゃんの様子を見に、そして退院したばかりのおばあちゃんのお見舞いをするためだ。まずは北安曇郡小谷村へ。


雨の降る前だったので、
川の水が澄んでいる小谷村。
春まだ浅い景色です。

 長寿日本一の長野県のある典型なのかもしれないが、数々の病気を乗り越えたひいおじいちゃんは、あくまで谷間の村で暮らし続けている。
 意気軒昂、やる気だけはある。ご近所や役場などにもごあいさつして、あらためてお願いをしながら、肩がどんどん重くなるママ。これも孫の責務である。

 気分転換には何といっても「道の駅」めぐりでしょう。小谷村の道の駅で、パパが猫飼いのあこがれとされる猫ちぐらを発見!すごく興奮してはしゃぎまわって、ママを唖然とさせた。買おうかどうしようか、いい大人が2人で悩む悩む。


猫ちぐらといえば関川村が有名だが、
小谷村にもこの技を持つ人たちがいる。
昔は赤ちゃんを寝かせる籠もあって
農作業の時あぜ道に置いていたとか。

 さて、次は実家へ。でも、病み上がりのおばあちゃんに無理をさせないために・・・という理由をつけて、その晩は以前から気になっていた松本の扉温泉明神館へ。地元の温泉に泊まるって不思議な気分でしょう。温泉ってそんなに気持ちいいのか?浴衣でフレンチを食べるってどんな気分なんだ?


朝の5時。誰もいない明神館名物、立ち湯。
沢に向かって開け放たれた、立って入るお風呂です。
ひとりでゆっくり入ったママ。
朝ごはんが8時からなのがつらかったけれど、
待った甲斐のある食事でした。

 翌日は塩尻市の実家で、両親や妹夫婦と一緒ににぎやかに。脳こうそくの初期症状を自分で気がついて、一週間の入院投薬治療だけで何の後遺症もなく生還したおばあちゃんはすごい。テレビなどの健康情報ってあなどれないね。

 結局、お見舞いに行きながら、おばあちゃんの手料理を食べてご機嫌で帰ってきたんだから、パパもママものんきだよね。


 さて、ごはんの時、おじいちゃんは猫が嫌いだって言うんだ。なぜなら、ママが幼稚園の頃、とてもなついていたはずのトラ猫チビが、いきなりママの頬をひどく引っ掻いたからだって。猫なんか恩知らずなんだからって。それでいつも猫を見ると、娘の敵とばかりに追い払っていたんだね。ママが初めて聞いた父心である。


お釜が開くと突進して、食べます。
吾輩は悪い奴です。
追い払われてもしかたがありません。

 猫の名誉のために誤解を解かなくちゃと、「チビが引っ掻いたのは、私が大きなはさみでチビのひげをいきなり切ったからだよ。」とママがけろりと告白したから、みんな心底びっくり!当時幼稚園児だったママのマイブームで、リカちゃんの髪の毛もショートにしたんだって。

 おいおい。ひげって超高性能センサーなんだ。激痛だよ、きっと!信じていた人間にいきなり地獄の苦しみを与えられたら・・・。


ちのママがそこまで極悪非道だとは・・・。
ところで、お留守番していたわたしとAoaoに
おみやげがないんですが。
おかしくないですかね。

 おじいちゃんの驚くこと。この40数年の思い込みは何だったんだろうね。恩知らずはママなんだよ。飼い猫の信頼を粉々にしたんだ。

 またきっとママはちょくちょく長野に帰る。たぶんね。今度は吾輩も一緒に行こうかな。おじいちゃん、吾輩はどんなにAoaoが手荒に扱っても、じっと我慢している律儀な猫なんだよ。よろしくね。



買っちゃった、猫ちぐら。
見た途端、吾輩はわかった。
これは入るしかない。
ただついついあちこちかじりたくなるんだな。
ママが伝統工芸品だからやめてくれって泣くんだけどね。