2012年1月25日水曜日

Our Guard Cat


  吾輩は初めて雪を見たEmilioである。でもほかほか暖かい部屋の中で抱っこされて、11階の窓から「雪だ!雪だ!」と騒ぐパパの顔をみつめただけで、正直あまり関係がない。一生雪に触れることなく過ごせたら、それはそれで猫としては十分幸せなのだそうだ。


 ふつうなら、朝日でぐちゃぐちゃになる
首都圏の雪だけれど、
今回は気温が低いせいか
固く凍りついている。

 電車もバスも止まって、タクシーもつかまえようがない。通勤通学は大打撃で、パパもAoaoも駅でうんざりするほど電車を待った。悪運の強いママは自宅勤務日であった。

 Bettyの夕方の散歩のとき
ご近所さんがエントランス前の雪と格闘していた。
溶けかけた雪が、またカチカチに凍っていたんだ。
ちょっとだけお手伝いしたけれど
雪かきじゃなくて氷割りに近い作業でびっくりしたママ。

 雪景色の中訪ねてきたのはピアノの調律師さん。もう10年以上のおつきあいになるらしい。
 実は昨年いらした時に、かわいがっていた猫を亡くされたばかりとおっしゃっていた。この1年、我が家もいろいろなことがあって、いつの間にか吾輩が家族なのだとお伝えしたら、とても驚いていらした。

 調律前に鍵盤をみせてもらった。
猫が乗ってもいいの?

 猫友がいまひとつ少ないママは、さっそく吾輩をお見せして、体格のことなどお聞きしようと考えた。ドッグバッグから引っ張り出されて、ごあいさつしろというので、「シャアー(吾輩はEmilioである。以後なめんなよ。)」と仁義を切った。調律師さんはびっくりしていた。
 ちなみにBettyはケージの中から「ギャンギャン(あんた誰よ、何者なのよ、わたしはBettyなんだから!)」と単純にケンカを売っていた。


一音一音確かめるように歩く。
まるでサティの音楽みたいって
ママはお気楽ですな。

 その後も調律の音が気になって、お道具が気になって、出してくれってうめきつづけた吾輩。1時間以上待って、調律終了後やっと出してもらえた。
 一直線に調律師さんに近づいて、「シャアー(だれのシマで商売してんだい)」。呆然とする調律師さんの匂いを嗅いで、お道具箱をチェック。節目節目で「シャアー(立場わきまえろよ、吾輩の家なんだから)」って威嚇しておいた。別にひっかいたりかみついたりするわけじゃない。

 一歩も引かず凄んで見せる吾輩は、非常に珍しいタイプだそうだ。ふつうの猫は、見知らぬ人が来ると隠れて出てこないとか。吾輩は相当気が強いか、甘やかされて人間が怖くないか。え?怖い人間ってAoaoのことでしょ。後の人は大したことないもの。

 
えーい、お行儀の悪いネコめ!
こうしてやる!
最近Bettyは猫のぬいぐるみを
徹底的に叩きのめす。

 猫の話をしながらお茶を飲んでいる調律師さんとママが気になって、テーブルの上に乗った。ハーブティーの匂いを嗅いで、調律師さんの手の匂いも嗅いで、目が合うと「シャアー(じろじろ見るなよ、文句あるのか?)」って言わずにはいられない。
 こうして、ずっと見知らぬ人のそばで偉そうにしている吾輩は、つくづくへんてこな猫らしい。番犬ならぬ番猫と呼んでくれたまえ。

 調律師さん、また1年後お会いしましょう。吾輩のさらなる成長をお楽しみに。

Betty、ぬいぐるみじゃなくて
吾輩とバトルして遊ぼうぜ。

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